上野則男のメルマガ − システム企画研修 bP ★━━━━━━━━━━━ 上野則男のメルマガ ━━━━━━━━━━★  ≪今号の内容≫  ■メルマガ発刊のごあいさつ  ■「お客様は神様だ」の裏にひそむもの     ―お客様の言いなりが勝ちではない             ■日本の「ものづくり」の底力は過小評価されている     ―日本の情報サービス業はどうする?  ■研修(オープン・コース)、セミナのご案内 ★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━No.1━━★   これまでご愛顧いただきました弊社発行情報誌「MIND−REPORT」は、  2008年7月発行の第82号をもってしばらく休刊させていただくことといた  しました。  長い間のご支援・ご愛読に対して深く感謝申しあげます。   単なる企業PRの内容だけでなく、数多くのご寄稿者の、あるいは私どもの  主義・主張を掲載させていただきました。ご寄稿いただいた皆様に深く感謝申し  あげます。  また、私どもの解説記事や主張につきましても、数多くの隠れたご支援者がおい  でで、そういう方々から激励のメッセージやコメントをいただきますと、たいへん  勇気づけられ嬉しく思いました。   しかしながら、印刷物を含め定期的に刊行を続けるということは、弊社の  規模の企業ではなかなか大変なことでございます。   そこで今後は、以下のような内容で今風の「メルマガ」として情報発信させて  いただくことにいたしました。皆様からのご寄稿も頂戴して価値ある情報提供  をさせていただこうと思います。  多くの方々からの自由なご寄稿をお待ちしております。   引き続きのご愛顧・ご支援をいただけますように、何とぞよろしくお願い  いたします。 【当メルマガの発信頻度】 ◇1月1回程度 不定期 【当メルマガの内容】 ◇上野則男の小論    ・新聞・書籍に掲載された内容に関連して気がついたこと・ご提言などを、     弊社の主張・商品のコンセプト等に関連づけてまとめます。    ・原則として各回、短いもの1編と長いもの1編の組み合わせとします。    ・この小論に対するご意見・反論等をメールでお受けします。 ◇ご寄稿    ・内容自由で随時ご寄稿をお受けします。    ・掲載の可否は当社で判断させていただきます。 ◇弊社からのお知らせ    ・トピックスやオープンセミナのご案内   なお、小論、それに対するご意見・反論(掲載の可否は弊社で判断させていただきます)、  ご寄稿等は随時、弊社のホームページにバックナンバを含め掲載いたします。ご利用ください。       http://www.newspt.co.jp/data/mailmaga/mgbk.html                    システム企画研修(株) 代表取締役 上野則男 ◆・◆・…━◆【「お客様は神様だ」の裏にひそむもの】◆━…・◆・・◆             ――お客様の言いなりが勝ちではない ------------------------------------------------  北京オリンピックで素晴らしい成績を挙げた競泳の北島選手も着用したことで、スピード社 の「レーザー・レーサー」が有名になりました。それまで日本の競泳界に独占的に水着を提供 してきたミズノの水野明人社長がこう語っていました(日経新聞2008年7月6日号)。  「ミズノが開発した水着は選手の要望を完全に満たしていたと思う。しかし『選手が求めるも のがいいもの』ではなく、選手に嫌がられてでも新しい発想の水着を開発する姿勢が必要だっ たのだろう。スピード社の水着は強く締め付けるなど選手が嫌がる要素を取り入れたが、 それでも高く評価された」    選手は水着に対して「泳ぎやすいように」「見栄えが良いように」などの観点からいろいろ 注文をつけたのでしょう。その「注文」を聞いていれば、ミズノとしては、水着を採用してもらえ たのです。しかし、選手が泳ぐのは勝つのが目的です。ならば、選手の希望とは別に、どうす れば水の抵抗が少なくなって早く泳げるかを研究すべきだったのです。  お客様の望む「解決策」を鵜呑みにしてその実現を考えるのではなく、お客様の真の 「目的・ねらい」を探求してその実現を考えてあげなければいけないのです。 これは、MIND−SAの「丸い三角形」の教えるところです。 ━…‥‥…━…‥‥…━…‥‥…━…‥…━…‥…━…‥…━━…━◆━…・◆・・◆   ◆・◆・……━◆【日本の「ものづくり」の底力は過小評価されている】◆━……・◆・・◆             ―日本の情報サービス業はどうする?― ------------------------------------------------  この1行目は、学士会会報872号(2008−X)で、東レ経営研究所の増田貴司氏 が発表された論文のタイトルです。その主な主張点をご紹介します。 ◇2002年ごろからの製造業復活はたまたまの成果ではない。 ◇社会は製造業からサービス業へ進化していくという「脱工業化論」には賛同できない。 ◇日本の製造業の強みは以下の6点である。   1.厚みのある部材産業の集積   2.作り手と使い手の一体化(例:鉄鋼業と自動車・電機産業)   3.現場の課題解決能力   4.多能工の重視   5.組織の一体感と帰属意識   6.ものづくりに楽しみを見出すメンタリティ ◇他国企業と同じやり方では利潤は生まれない。 ◇ものづくりの強み再構築に向けた取り組みをすべきである   (前掲の強みが失われつつある) ◇ものづくりの価値を世界に認めさせる努力をしよう。  私も全面的にそのとおりだと思います。今の日本の社会的価値観は、「米国流」至上主義 が主流です。その方向に日本が向かったら、日本の伝統的な良さは失われ、不得意な土俵 で戦うことになります。このような思考法の遠因は戦後教育です。もうそろそろその呪縛から 逃れないと、日本は世界の三流国どころか、四流、五流に落ちてしまいます。  私は、欧米流に安易に従うことを早くから危惧して、「前例・みんな主義」(みんながやって いることはいいことだ、それに従うことが合理的である、という価値観)を脱して、自らの頭で 「それは何のためにするのか」ということを考えましょう、と主張してきています (NTTデータ出版「価値目標思考のすすめ」等)。    ところで、増田氏の言われる日本の製造業の強みを日本の情報サービス業に活かすこと はできないのでしょうか。少し考えてみました。 ★ 現状  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 1.厚みのある部材産業の集積    製造業の部材産業はそれぞれが特色・強みを持っています。だから厚みがある    と言われているのです。情報サービス業の「下請け群」はほとんどが強みを持っ    ていません。 2.作り手と使い手の一体化    元請け者と発注者の関係はそうなっています(いい加減な元請け者も増えて    きているようですが)。ところが、元請けとその下は一体化からほど遠く、    使い手のニーズが作り手に行き届かない状況です。 3.現場の課題解決能力    作り手の現場の末端で「作業者」が自分で問題を発見し、自ら改善策を    考えて迅速に問題解決を図り、トラブルに柔軟に対応するプロセスが組織    に埋め込まれている(増田氏の表現)、という状況になっているでしょうか。    CMMIのレベル5はその状態を目標にしていますが、日本でレベル5の    企業はごく少数です。 4.多能工の重視    これもこの業界ではダメです。職種が細かく分かれてしまっています。    昔の当業界人は1人で何でもやっていました。今は技術が進化したことも    あって、設計もCOBOLもJAVAも××フレームワークも得意という技術者    はほとんどいません。 5.組織の一体感と帰属意識    この業界は他の職場よりも薄くなっているのではないでしょうか。    労働市場の流動性が高いこととも関係がありそうです。 6.ものづくりに楽しみを見出すメンタリティ    この点も減ってきていますね。分業といわゆる標準化が進んでしまい、創造の    喜びを味わえる人が非常に少なくなっているのではないでしょうか。 ★ 対策のヒント  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  それではどうしたら良いのでしょうか。すべての対策を一挙に実現する方法はおそらくない でしょう。現実的に考えて、2.、3.、4.、6.を実現する方法があります。  現在もそのような職場が多いと思いますが、お客様のところに張り付いて(常駐である必要 はありません)お客様と一体になって「良い」システムを考えるのです。お客様の言いなりでは ダメです。お客様と一緒になって「何のためにそのシステムを作るのか」を考えます。そして 1人または1グループが設計を行い、自らソフトウエア生成を行い(近いうちにプログラミング は不要になります)完成させるのです。この方法は達成感・満足感が得られるでしょう!  この方法は小さな開発案件・保守案件では可能です。しかし、大きな開発案件はどうなるの でしょうか。プログラミングレスを前提にすれば、そんなに多段階の作業分担は不要となります。 最初の全体設計は別として、なるべく小さな単位にシステムを分割します。そしてその小さな 単位で、企画者・外部設計者・内部設計者・基盤系技術者がオーバラップして共同で作業する ようにします。無駄なようですが、そうではありません。 誤解や情報不足によるロスがかなり大きなことをご存じでしょう?  こうすれば、人材育成もOJTで容易になります。  1.は、企業単位の努力では一朝一夕にはできないでしょう。特色のある企業が少しずつ 増えていくのを待つしかなさそうです。  5.の対策としては、会社で実践発表会のような機会を頻繁に催して、各人の工夫を会社で 共有し、それを広めていく努力を促進します。優秀な実践者の表彰も行います。そうすると、 会社の収益向上→従業員の待遇改善→帰属意識の強化→工夫の実践→会社の収益向上 という好循環を産むことになります。  このような方法を、組織を挙げて本格的に取組んでみられたらいかがでしょうか。 ━…‥‥…━…‥‥…━…‥‥…━…‥…━…‥…━…‥…━━…━◆━…・◆・・◆ ◆・◆・…━◆【研修(オープン・コース)、セミナのご案内】◆━…・◆・・◆ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【目次および開催日程】 http://www.newspt.co.jp/data/info/schedule.html  ▼ 夢創出プログラム研究会・・・・・・・・・・・・・・10/28スタート  ▼ 要件定義手順コース・・・・・・・・・・・・・・・・・10/23〜10/25  ▼ 開発成功の秘策研究セミナ・・・・・・・・・・・・11/5  ▼ リスクマネジメント基礎能力強化研修・・・・11/6  ▼ ビジネス分析手法コース・・・・・・・・・・・・・・11/11  ▼ システム分析・企画コース・・・・・・・・・・・・・11/20〜21  ▼ ISトップ・フォーラム・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11/20 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ※すでにお申込みの方には、度重なるご案内をお詫び申しあげます。 ※会場の記載の無いものはすべて弊社(システム企画研修)にて開催いたします。  http://www.newspt.co.jp/data/copr/map1.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  【研究会名】夢創出プログラム研究会   開発ロスの削減を行って利益を創出する方法を共同で研究します。   半年の固定会員制です。  【日時】第1回 10月28日(木) 14時00分〜18時       2009年4月までに全7回開催予定  【費用420,000円/1社(税込)  【詳細】http://www.newspt.co.jp/data/dlm/dlms.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  【研修名】第4回 要件定義手順コース  【日時】10月23日(木)〜10月25日(土) 各9時30分〜18時  【費用】102,900円/1名(テキスト・昼食代・税込)  【詳細】http://www.newspt.co.jp/data/kensyu/open/f12.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【セミナ名】開発成功の秘策研究セミナ  【日時】11月5日(木) 14時〜19時  【費用】無料  【詳細】http://www.newspt.co.jp/data/info/semina/tops.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  【セミナ名】第1回リスクマネジメント基礎能力強化研修   プロマネ以外のメンバが自覚していただくことによってプロジェクトリスクを    削減する方法を学んでいただきます。  【日時】11月6日(木)9時30分〜18時 【費用】42,000円/1名(消費税込み)  【詳細】http://www.newspt.co.jp/data/kensyu/open/risk_o.pdf ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  【研修名】第9回 ビジネス分析手法コース  【日時】11月11日(火)〜11月12日(水) 各9時30分〜18時  【費用】84,000円/1名(テキスト・e-learning・昼食代・税込)  【詳細】http://www.newspt.co.jp/data/kensyu/open/h1.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  【研修名】第7回 システム分析・企画コース  【日時】11月20日(木)〜11月21日(金) 各9時30分〜18時  【費用】84,000円/1名(テキスト・e-learning・昼食代・税込)  【詳細】http://www.newspt.co.jp/data/kensyu/open/f11.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  【研修名】第4回 ISトップ・フォーラム   情報サービス業のトップの皆様を対象に経営改善に繋がるテーマを   ご研究いただく研究会です。つど参加も可能です。  【日時】11月20日(木)14時〜18時、その後情報交換会  【費用】会長・社長様お1人参加 :52,500円/1回、ペアご参加 :63,000円/1回  【詳細】http://www.newspt.co.jp/data/info/is/is12_04.html  【対象者】情報サービス業の会長・社長様  【会場】(株)ソピア様(神田) ━…‥‥…━…‥‥…━…‥‥…━…‥…━…‥…━…‥…━━…━◆━…・◆・・◆ ---------------------------------------------------------------- お申し込み・お問い合わせにつきましては本メールへの返信あるいは 弊社HPよりお願いいたします。 ↓ http://www.newspt.co.jp/data/info/schedule.html ☆★アドレス変更・送信停止等は本メールへの返信にてお願いします★☆ ========================================== システム企画研修株式会社 電話:03-3440-1800、Fax:03-3440-1799 〒108-0074 港区高輪3-11-3 東信高輪ビル4F mind-pc@newspt.co.jp http://www.newspt.co.jp ==========================================